それは、正式には栖月山雲林寺(せいげつざんうんりんじ)と言い、宗派は臨済宗南禅寺派です。
この旧むつみ地区では臨済宗南禅寺派のお寺が大半のようですが、
何故、ここ雲林寺が“ネコ寺”と呼ばれるようになったのか? 興味津々
先日、お訪ねして直接聞いて参りました。
場所は、ちょっと分かりづらいのですが、旧むつみ村内を走る県道13号(バイパス)から四、五十メートル西に入った通称「吉部市」(きべいち)と呼ばれる地区で、付近にはお醤油屋や日用品店、一般民家等が軒を連ねており、かつては割と賑わっていた名残があります。
寺院は、旧県道沿いの参道の石段を少し登った小高いところで、木彫りの猫が出迎える山門をくぐってさらに少し石段を登ると本堂がありますが、ここでも、2匹の猫が参拝者を出迎えてくれます。
そして、本堂を見渡せば、正面のお賽銭箱両側に白い招き猫、本堂前の鐘楼にもやはり猫、さすが“ネコ寺”だと感心させられました。
私が訪れたころにも数組の参拝者があり、近くに大型バスも駐車できるスペースも確保されていて、日頃からかなりの参拝者があることが窺えました。
本堂前でお賽銭を差し上げて参拝を終えると、玄関の方から「どうぞこちらにお入り下さい。」と、若い女性の声。
この方は、雲林寺内のおみやげどころ“うしみつ堂”のうし店長さんらしいのですが、実は住職の奥様だったのです。
うし店長さんに「どうぞあちらへ・・・。」と、本堂内の参拝を勧めていただき、さらに奥に進んでビックリ、びっくり! 右も左も、上も下も、“猫、猫、猫”・・・・
本堂内にはおびただしい数の猫がいて、
ご本尊様が安置されている本堂中央の
内陣以外の間には、大小様々なネコ様が、
とにかくいっぱい!
木彫り、焼き物、絵、写真などなど、その数
の多さにはホントウに圧倒されました。
一通り堂内を見物した後、うし店長様にお茶のご接待をいただき、少しお話を聞くことができました。
角田宗岳住職は、平成8年(1996年)に岡山県から雲林寺に就任されそうです。
それはそれは、遠い所からよくぞ田舎へ・・・・と、内心で感心しながら、最も関心があった当雲林寺がネコ寺となった理由についてお聞きすると、平成21年1月初版発行の「招福堂縁起絵巻」なる小冊子を出して下さり、後でゆっくり読んでみて納得しました。
ちなみにその小冊子によると、この縁起絵巻は山口市在住の漫画家「一ノ坂ひかる」さん、鐘楼や招福堂の建立は技能グランプリで鉋使いの名手:山根 学さんが、お寺にある木造の大きな招き猫は山口市阿東に在住の、チェーンソウ・カーバーとして世界的に有名な林 隆雄さんが、更には招福観音像を作陶されたのは萩市在住の陶芸家:今道佳子さんだそうです。
小冊子によれば、昔から猫が福を招くという伝説は沢山あるようですが、直接の関係の概略は次のとおりです。
時は寛永2年、萩城下毛利輝元公の忠臣「長井元房」は、輝元公が逝去されると自刃してお供をされました。
ところで元房には愛猫がいて、元房亡き後の四十九日の間、天樹院にある元房の墓前から離れようとしなかったのです。
やがて、その愛猫は自ら舌を噛んで亡き主のお供をしましたが、夜ごとに悲しむ泣き声が続いたことから、天樹院の僧が供養をしたところピタッとおさまったそうです。
以後、この付近は現在まで「猫の丁」と呼ばれているようですが、この天樹院は、明治維新の折りに廃寺となり、輝元公の墓所のみが跡を留めているそうです。
そして、当「雲林寺」は、この天樹院の末寺だったということです。
こうした雲林寺の経緯を知られた雲林寺の角田住職は、天樹院和尚に倣って元房殿の愛猫や世の猫たちの魂を慰めると共に、陰徳を積む人々に福を招かんと発願され、「招福観音菩薩」を勧請供養された次第です。
(この度、招福堂の写真は撮れていません。)
なお、雲林寺のご本尊は“お釈迦様”です。
また、住職ご自身と猫との因縁についてもこの小冊子末尾に説明されていて、住職が広島県三原市で修行中に捨てられた仔猫との出会いがありました。
その仔猫は、住職や実家の母上に“ブー”と名付けて可愛がられていました。
ところが、山口へ来られる少し前にブーは病死し、現在、雲林寺にはぶらりとやってきた、初代とそっくりの二代目ブーがいるそうです。
この度は、その二代目ブーやご住職にはお会いできませんでしたが、とっても優しい奥様が参拝者を親切にもてなして下さり、お茶までごちそうになりました。
この度は、時間の関係で沢山ある興味深いおみやげ等をゆっくり見ることができなかったので、改めて是非もう一度参拝したいと思います。
なお、余りにも沢山いる猫について、一体何匹いるのですか?と尋ねてみたところ、「700匹位」まで数えていたが、それ以後増えすぎてよく分からないとのことでした。
また、境内や付近の山などには愛媛県や山口市秋穂等で入手された彼岸花の球根が植えられていて、秋になると見事な「朱色」に染まるそうで、是非見に来て・・・とのお誘いを受けました。
栖月山雲林寺
〒753-0304 萩市大字吉部上2489
℡08388-6-0307
大きな地図で見る
レンタカーのご要望は、山口県レンタカー協会加盟店へ
http://www.yama-rentcar-kyokai.jp/